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◎120年の歴史で初めての『民法大改正』◎
2014-10-10
◎120年の歴史で初めての『民法大改正』◎
2014年8月26日
法制審議会の民法部会が、法務省がまとめた「国民に分かりやすい民法」を目指す民法改正案を、大筋で了承しました。
来年2月の答申を経て、法務省は通常国会に民法改正案を提出する予定です。
可決されれば、国民にとって身近でありながら、分かりにくかった契約ルールがシンプルで明快なものになります。
改正は、約200項目に及びますが、ポイントは消費者と中小企業の保護の強化です。
●主なポイント●
1.賃貸契約の敷金ルールの明確化
2.賃貸契約の連帯保証額の設定
3.中小企業における個人連帯保証の原則禁止
4.法定利率の引き下げと変動制
5.欠陥品対応の多様化
6.未払い金の消滅時効の統一化
詳細は以下のとおりです。
1.賃貸契約の敷金ルールの明確化
現行は、賃貸契約が終了した際に借主に返還される「敷金」には、規定がありません。
改正後は、「敷金」=「賃料等の担保」と定義されます。
貸主・・・契約終了時に借主に対して「敷金」の返還義務が課せられます。
借主・・・日常生活による傷みや経年変化の場合、原状回復義務は課せられません。
2.賃貸契約の連帯保証額の設定
賃貸契約において、現行は、連帯保証人が負う賠償額の上限の設定義務はありません。
改正後は、賠償額の上限の設定が義務付けられます。
借主の失火や自殺で、保証人が法外に高額な賠償を負うことがなくなります。
3.中小企業における個人連帯保証の原則禁止
中小企業が融資を受ける際に求められる連帯保証ですが、現行は、第三者が連帯保証人になることが
認められています。
改正後は、第三者保証が原則禁止となります。
但し、保証人になる(債務を履行する)意思を表示し、「公正証書」を作成すれば保証人になることが
できます。
さらに、経営者・株主・事業に従事する配偶者は、これまで通り保証人になれる例外が認められます。
親戚や友人の頼みで安易に連帯保証人となったため、多額の借金を背負い、自己破産や自殺に追い込
まれるような悲劇を避ける効果があるとされています。
反対に、融資条件が厳しくなることも予想され、金融機関は信用力が低いとみなした中小企業に対
し、今後も容赦なく「公正証書」を作成させ、第三者保証を取ることを求めてくると思われます。
4.法定利率の引き下げと変動制
法定利率は、現行では5%と定められています。
改正後は、3%に引き下げられ、その後は3年ごとに1%刻みで見直す変動制が導入されます。
税金の滞納や、民事の損害賠償金の支払いが遅滞した場合の利息なども見直されます。
交通事故の被害者に支払われる損害賠償金が増えます。
しかし、損害保険会社は支払う補償金が増えるので、自動車保険等の保険料の引き上げが想定されま
す。
また、法定利率が下がると逸失利益が増え、受け取れる保険金も増えますが、利率変更の設定の日付
によっては、たった一日違いで保険金の額が数千万円も変わってしまう恐れもあります。
5.欠陥品対応の多様化
欠陥品を購入してしまった際の対応が多様化されます。
例えば、購入した家の基礎工事の手抜きや、シロアリがいたなど、購入前には気付かなかった欠陥
(瑕疵)が後で見つかった場合は、現行では契約解除か損害賠償しか請求できませんが、改正後は、修理
や交換、値引きなども請求できるようになります。
消費者救済の為の選択肢が広がります。
6.未払い金の消滅時効の統一化
現行での主な未払い金の消滅時効は・・・
1年・・・飲食店、レンタルビデオ、レンタカー等の料金、芸能人、プロ野球選手の給料
2年・・・小売業の商品代、理髪店、クリーニング代、学習塾の授業料、弁護士の報酬
3年・・・医師、薬剤師の医療費、工事に関する費用
10年・・規定にない司法書士、税理士、マッサージ師などの報酬
このように職種別に異なって定められています。
これを廃止し、「権利行使(未払い金の取り立てを)できると知った時から5年」に統一されます。
分かりやすくなり、トラブルが減ります。
簡単にまとめましたが、改正によって、中小企業が受ける影響は大きく、個人の生活にも密接に関係
してくるので、知識がなければ損をする可能性もあります。
会社としても個人としても、この民法改正には注目していきたいと思います。
また、この改正内容に進展があれば随時更新していきます。